【娘への手紙】聖女の声

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リスが増えたのですね。

餌が増えたのかもしれません。

そういえば、部屋の窓を開けていたら、リスにパンを食べられてしまったと言っていましたね。

この写真もそうですが、人間を恐れない動物は、数が増えますから、リスと上手に暮らす知恵をつけておくといいかもしれませんよ。

 

芸術作品にも、様々な情報が含まれています。

あなたの大学にも、教会があるでしょう?

教会に描かれている壁画は、信者へのプロパガンダです。

文字を読めない信者のために、教義を伝える情報が詰め込まれています。

絵画の中の人物が持っているもの、衣装の色、表情まで、決まり事があります。

 

聖カタリナという、殉教した聖女がいます。

ラファエロの傑作がありますから、図書館に行って、画集で調べてみてください。

仕草がとても優美で、表情も凛としていて、美しい絵です。

私が若いころに、父がヨーロッパ出張のお土産に、テンペラ画の模写を買ってきてくれたのです。

思い出の絵です。

 

聖カタリナは、キリスト教の聖人伝『黄金伝説』で、邪な権力者から純潔を守るために、刑車で八つ裂きにさせられそうになったと伝えられています。

どこにでも、そんな男性はいますね。

教会は、信者には清貧を説きながら、権力者からの寄付を受け取り、財を増やしていました。

穿ってみれば、その後ろめたさを隠すような話でもありますね。

見方を変えると、権力者に逆らうと、恐ろしいことになるという、恐怖政治を実現させるプロパガンダにも見えます。

絵のイメージは、見る人の立場によって変わります。

 

可哀想なことに、「刑車で八つ裂き」が、聖カタリナの象徴になりました。

彼女の絵には、車輪が描かれます。

車輪がなければ、ラファエロの絵も、その女性が誰か分かりませんでした。

車輪があるので、「聖カタリナだ」と分かるのです。

 

延々と、自分を恐怖に陥れた車輪と共に描かれるのは、どんな気持ちでしょう。

それとも、そのような恐怖を克服して、神の祝福を受けたことを、象徴しているのでしょうか。

聖カタリナの車輪を、アトリビュート(その人物を表現する持物)と呼びます。

 

あなたを描くときの、アトリビュートは何でしょうね。

数式を書いたノートでしょうか。

私は何でしょう。

筆かしら。

それとも、やはり幼子を抱くでしょうか。

あなたを育てたことは、私の芸術に、大きな影響を与えました。

幼子のあなたに、筆を持たせて抱きましょうか。

そういうことを考えながら、様々な聖人のアトリビュートを探してみると、聖人たちの声が聞こえてきそうですね。