【娘への手紙】光の影の物語

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カズオ・イシグロの『私を離さないで』を、若い頃に読みました。

美しくて、哀しくて、印象に残っています。

あなたは読んだのかしら?

サイエンスに携わるあなたの感想が聞いてみたいわ。

この写真をみて、物語の、施設の話を思い出しました。

 

人は、何のために生きているのか。

若い頃には、そんな壮大なことを、何週間も考え続けられました。

命とはなにか。

私とは誰か。

美とはなにか。

そういえばあなたも、小・中・高と、いつも人生について考えていましたね。

なぜ生きるのか。

生きるとは、どういうことか。

いまは、あなたなりの答えを見つけたのでしょうか?

 

宗教は、人間の存在に対する問いと、美に対する問い、両方の答えをくれる気がします。

日本の美術の歴史のなかで、最初に「美しい」と感じるものは、やはり仏像でしょうか。

飛鳥・白鵬時代の代表的な仏像は、渡来人が作ったものですが、日本のものと考えましょう。

日本だからこそ、できたものもあったでしょう。

 

なぜ人は、生きているのか。

この問いは、飛鳥・白鵬時代の人たちも、抱いたでしょう。

大仏に金箔を貼るため、水銀を使用しました。

水銀中毒で、多くの人が病に倒れたそうです。

美しく黄金に輝く大仏のために、命を落とす人たちがいました。

彼らは、自分たちの病の原因を知らなかったでしょう。

けれどふと、『私を離さないで』の物語が浮かびました。

 

なぜ、生きているのか。

なぜ、美を求めるのか。

美とは、なにか。

サイエンスに携わるあなたと、アートに携わる私が見つける答えは、同じでしょうか?